都内でフルタイムで働くワーキングマザーです。娘が来年小学生となります。住んでいる地域的に中学受験はするつもりですが、体験談を耳にし、フルタイム勤務をしながら、地方出身で中学受験をしたことがない自分が乗り切れるか今から心配です。中学受験のための塾通いなど、準備はいつから始めたらいいですか?ワーキングマザーは、中学受験対応の民間学童を選んだ方がいいのでしょうか?それ以外にも学童保育の選び方等注意すべき点を教えてください。
首都圏では5.3人に1人が中学受験をしている
2021年度の中学入試は、Z会グループ・スクールスポットさんによると、首都圏(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県・茨城県・栃木県)小学6年生の児童数34万人をわずかに切る人数に対して、受験者数は6万4千人だと推定されており、昨年対比ではほぼ横ばいです。
東京23区の中学受験は拡大、東京集中
東京23区に限って言うと、2016年より中学受験は増加に転じ、2021年はコロナ禍にも関わらず受験者数は拡大、東京集中は変わりません。もちろん、この傾向は23区でも地域によります。
全国屈指の中学受験エリアとも言われる、東京都港区白金・高輪界隈では公立小学校の中学受験率は100%に近いと言われています。中学受験集中日2月1日-2日は、他学年の子が給食のデザートをもらいに六年生のクラスに行く、という子どもらしいエピソードが有名です。
千代田区番町界隈も同様の傾向あります。教育の文京区は、一般的には公立中学のレベルが高い、とは言われていますが、区全体の中学受験率は50%以上ではないでしょうか。
公立中学には行きたくない 消極的理由での中学受験も
中学校受験は、誰もが難関中学を目指している訳ではありません。例えば、目黒区の公立中学校に進学をしたら、クラスに女の子がたった5名しかいなくてかわいそうだった。などのエピソードを聞いて、子どもや家庭方針に合わない公立中学に進学させないための消極的な理由での中学受験も目立ちます。
中学受験は情報戦 最短ルートはある
さて、ここからは、ワーキングマザー・共働き家庭の普通の子どもが難関校を目指すための最短ルートをご紹介します。
受験は全て情報戦です。合格するための正しいルートを知り、正しい努力をすることです。
そして中学受験前までの小学生低学年の時間を有意義に過ごしていただければと思います。
中学受験の最短ルート
・合格率の高い進学塾に通い、合格までの最短ルートを知る
・合格最短ルートに沿って、たくさんの量をこなす
(前提)
・入塾可能なタイミングを知る
・入塾試験に合格し、高い点数をとる必要がある
・自主学習習慣、読解力、学びへのモチベーション、自己肯定感が必要
難関校を目指すのであれば、まずはSAPIX(サピックス)入塾を検討する
難関校を目指すのであれば、まずはサピックス入塾を目指してください。
サピックスは、合格実績総数も、受験者数に対する合格率も全体的に言えばNO.1です。
また、塾弁(休憩時間の合間に食べるお弁当)が不要なのはワーキングマザーにとってはありたいです。
サピックス入室テストに合格できなかった、入室したけど子どもには合わない時は、気持ちを切り替えて他の進学塾に通います。他にも、中高一貫に強い、個別フォローが手厚い等、様々な特徴をもつ進学塾がたくさんあります。
ワーキングマザー・共働き家庭は、通いやすい場所も重要
サピックスの難点は、校舎数が少ないことです。
出店校舎を子どもの人口や世帯収入から戦略的に厳選し、商圏を他の中学受験塾よりも大きくすることで、激しい競争環境をつくり、勝ち残った子どもたちが高い合格実績と合格率をつくる。これが、サピックスの戦略です。
家の近所に希学園やグノーブル、日能研があり、サピックスが家から遠い場合は、無理してサピックスに通う必要はありません。
近所のサピックス校舎の合格実績が少ないからといって、東京校等に通われる方もいらっしゃいますが、フルタイム勤務者や共働き家庭はそこまで無理をする必要はありません。時間的にも無理です。
受験は、正しい方法を知ったら、あとはどれだけの量をこなせるかが勝負です。
例えば、通塾に往復1時間半をかかるとしたら、毎日通えますか?
夜の9時すぎまで塾に通い、家に帰り、食事とお風呂を済ませたら、宿題を平均3-4時間をする。5-6年生はほぼこのような毎日となります。通いやすい場所を選ぶことも、時間を無駄にしないためにも重要です。
本格的な中学受験コースは3年生2月からスタートするが、既に募集停止が多い
サピックスをはじめとする、希学園、日能研、グノーブル等、難関校を目指すための中学受験塾は、新4年生クラス(小学校3年生2月スタート)から本格的な中学受験クラスがスタートします。
しかし、新4年生クラスから塾通いをしたらいいのでしょう?!と思ってはダメです。なぜなら、新4年生クラスは募集停止が多く、入ることができないのです。
参考までに、2021年11月時点のサピックスの募集停止校をご覧ください。
コロナ禍にも関わらず、新4年生(現3年生)クラスで募集停止が発表されているのは、
王子校、お茶の水校、渋谷校、白金台校、白金高輪校、巣鴨校、練馬校、南浦和校 です。
サピックスに小学校1年生から通うべき2つの理由
サピックスに1年生から通うべき1つめの理由は、募集停止を避けるためです。
そして、2つめの理由が、サピックス等の難関校塾では、テストの点数順にクラスもクラスでの座席が決まります。
サピックスで新4年生から設定される成績上位クラス α(アルファ)では、他のクラスとは、授業の内容も講師も全く違うと言われております。そのため、まずはαに入れるように、小学校1-3年生からサピックスに通わせ、基礎力をつけ、テスト対策をさせたい、と考える親が多いのです。
もちろん、途中で何度も試験があり、クラスの入れ替えもあります。
サピックスでは、小学校1年生は何を勉強するの?料金は?
1年生からサピックスに通わないといけないのか!!
とひいてしまわれた方も多いと思いますが、進学塾と言えども、1年生からいきなり受験勉強はしません。
サピックスの小学校1年生コースは、通うのは週に1回。内容は、国語と算数で、まずは勉強に対する興味を育ませたり、基本的な学習習慣を身につけることが中心となります。
料金は、ホームページには記載していませんが、1年生の場合は1万7千円前後です。
中学受験を本格的にスタートさせる前に、育むべきこと
中学受験をするのであれば、
サピックス等の4年生クラス(3年生2月)の上位クラスへの入室を目指す。
そのためには小学校1年生から塾に通う。
これが、最短ルートではありますが、中学受験勉強を本格的に始める前に、もっと大切なことがあります。
小学生1-3年生の間に、
1.自主学習習慣
2.読解力
3.学びへのモチベーション
4.やればできる!自己肯定感
を育むことです。
サピックスに通わせるよりも難しく、そして正解はありません。
自主学習習慣は、歯磨きと一緒
自主学習習慣は、子どもの好き嫌い関係なく、習慣を身につけさせなくてはいけません。
最初はやり方を教え、させてみせ、時に褒め、フォローをしながら、大人がいなくても一人でできるように習慣づけます。
小学校入学前にひとりでじっくりと学習できるようになっている子もいれば、3年生でも自分で考えなくてはいけない問題があるとすぐに投げ出してしまう子もいます。
子どもの個性や強みを見極めながらのフォローが必要です。
公立学童の多くは宿題をやる時間を設けたり、やるように声掛けはするようになりました。(10年前は、声掛けさせもしていなかったのです!!)しかし、本当にやっているかどうか、理解しているか、分からないことに対して教える等は、ほとんどの公立学童ではフォローしません。基本的には、厚生労働省の方針で、家庭に代わる保育施設の提供であり、勉強を教える場ではないからです。
夏休み前に、子どもの自主学習習慣を確認してください。
1学年×20分が、ひとりで集中して勉強できる目安です。家庭でフォローできないようでしたら、学習面をフォローしてもらえるような民間学童保育等の利用検討が必要となります。
読解力は勉強の基本。すぐには身につかないのでじっくりと取り組む
読解力は急には向上しません。日頃から物事の背景にある「意味」を考えたり、「なぜ」という問いをもつことが重要だと言われています。
こどもが小さい時に、毎晩寝る前に子どもに本を読み聞かせ、「どうしてこうなったと思う?」「このお話の先はどうなるんだろうね?」昔の家庭で当たり前のようにやっていることが、実はとても重要なのです。
今現在、小学生の読解力は低下する一方です。
2018年に話題になった『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』の著者・新井紀子先生(国立情報学研究所教授、同社会共有知研究センター長)によると、小学生の2割が教科書に書いてあることを文字としては読めるけど、書いている文章の意味を理解できていない、と本書でも指摘をしています。
新井先生のこの著書は小学校1年生の親の必読書です。まだの方は、是非一度読んでください。
読解力なければ、中学受験は無理です。本を読み、対話を重ねる機会を、家庭や外部でつくってください。
ジャンルは問わない!学ぶことへの好奇心や情熱を
民間学童保育を選ぶ3つの理由のひとつが、「子どもの可能性を伸ばすプログラムや活動」です。
民間学童で提供しているようなプログラミングや英語以外にも、家庭等で様々な体験を重ねるなかで子どもが夢中になれるものがあればジャンルは何でも構いません。それがたとえ、漫画やアニメでもなんでもいいのです。子どもは、自分が好きなことを極めるためには、様々なことを自主的に学んでいきます。
小学校2年生のAくん。お父さんと観たNetflixで『ゲゲゲの鬼太郎』にすっかり夢中になりました。
あまりにもはまりすぎて、アニメや漫画に飽き足らず、書下ろしを読むために、漢字やその意味を知るために漢字辞典を使いこなし、習ったことがない漢字も覚えるようになりました。
さらには、キャラクターが生まれた土地も気になり、地図を買ってもらい、地図や地方の特徴を学ぶと、鬼太郎の作品の背景も理解できるようになり、ますます鬼太郎の大ファンに!!家族旅行の行先は、もちろん鬼太郎の名所やゆかりの地巡りをリクエスト。旅の先々でのガイドやパンフレットの解説もひとりで読めます。
親が漢字検定のための勉強をさせるよりも、圧倒的にたくさんの漢字を覚えるようになりました。
子どもが夢中になれるものを見つけるためにも、習い事や民間学童保育を上手に活用してください。
やればできる!自分の努力を信じる自己肯定感を
中学受験は、12歳のこどもが、これまで生きてきた人生1/4の時間を投じて取り組む長期戦です。様々なことがある中で、努力し続けることが出来るのは、周りの応援と、さいごは自分を努力を信じることができる自己肯定感です。
最初は、小さくて構いませんので、日々の達成感や成功を積み重ねていってください。
子どもを褒める時には、能力や才能ではなく、子どもの努力を誉めるように意識してください。
小学校1-3年生は、中学受験対応よりも、様々な体験と好きを見つけること
冒頭の質問「 ワーキングマザーは、中学受験対応の民間学童を選んだ方がいいのでしょうか?それ以外にも学童保育の選び方等注意すべき点を教えてください。」に戻ると、サピックス等の進学塾に1年生から週1回通うことができれば、他の日は中学受験対応の民間学童に行く必要はありません。
公立学童を利用するのであれば、学習習慣が身につくように家庭で親がフォローしてください。
一緒に本屋や図書館に定期的に通い、本を読む環境を積極的につくります。
そして、子どもがやりたい習い事は1つでもいいので継続的に続けてみましょう。
忙しくて家庭ではできないところは、民間学童保育をうまく利用してください。上記のようなことを対応してくれる民間学童は、東京であればすぐにみつけられるでしょう。
まとめ
- 難関校を目指す中学受験のための塾通いは、自主学習習慣を身につけながら、サピックスまたは自宅から通いやすい進学塾を小学校一年生から週1日通う。それ以外は、本を読み、そして子どもの好き&楽しい習い事や課外活動を継続的に取り組ませてください。
- 疲れやすい子などは、小学校1年生の時は無理に毎日のスケジュールを詰め込む必要はありません。親が迎えに行けるのであれば、公立学童で友達と遊ぶ日があってもよいでしょう。
- お習い事好きな子は、小学校で過ごすよりも長い放課後の時間をつかって、好き&得意なことをどんどん伸ばしていきましょう。民間学童でのプログラム後に、送迎をつけて外部の水泳教室等に行くなどは珍しくはありません。勉強系、芸術・音楽系、スポーツ系を子どもにいくつも掛け持ちで習わせることは実はグローバルスタンダードです。